今年は雪解けから15山程度、登山(奥多摩、丹沢、八ヶ岳、富士山等)
先日上高地から涸沢テント泊、涸沢ー奥穂高はアタックザックで往復しました。上高地から一泊2日
上高地→涸沢4時間30分(CT6時間) 涸沢→上高地4時間20分(CT5時間)
涸沢→奥穂 2時間20分(CT3時間40分)、奥穂→涸沢2時間(CT 2時間40分)
いずれもCT比率でみると下りに時間がかかってしまいます。 下りの方が危険なので慎重に下りているというのもありますが。。
稜線にアタックする際に最低でもCT以下という基準が書かれていますが、下りの方がCT比率に対して比率が悪いことが気になっています。
また涸沢までテントを持ち上げその後同日に北穂高アタックしようと思ったのですが、足が思うように動かずに途中で引き返しました。
質問1
インストラクターの方も下りの方がCT比率に対して時間はかかるのでしょうか?
下りのCT比率をあげようとすればどんなトレーニングが有効ですか? 経験しかないのでしょうか?
涸沢までということで荷物を恐らく17㎏位もっていったのですが背中と腰が後半痛くなりました。
もちろん荷物の軽量化というのもあるのですが、今後テント泊かついで槍ヶ岳や吊尾根縦走したいと思っています。
登山のトレーニングは登山といいますが、どのようなトレーニングがおすすめでしょうか?
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栗山 祐哉
20数年間毎週フィールドに出続けている経験から、コースタイムの数字と言うのはとても良くできた数字であると感じています。
昔は地域やコースによってずいぶんバラツキがでるなと感じていましたが、現在ではどの地域、どのルートでもほぼコースタイム通りに歩くようになりました。登山における歩行技術を突き詰めていくと、最終的には誰が歩いてもほとんど同じ時間になるのでは無いかと思います。
コースタイムより大幅に早い、又は遅い場合、適切な歩き方ができていない可能性があります。
日々たくさんの方の登山の支援を行っておりますが、正しい歩行が行えている方であれば、涸沢まで17kg程度の重量で上がる強度で足が思うように動かないと言うことはまず起こりません。細身の女性でも行うことができてしまいます。
逆にM.A様のようにしっかりとトレーニングをされている方でも、無駄に出力を高めた歩行ではロスが大きくなってしまいがちです。
持久力、筋力を鍛えることそのものは上を目指せば目指すほど良いのですが、しかしそこに頼って技術がおざなりになってしまうのは些か考えものです。そこも合わせて習得していきましょう!
登山における体力として重要な事は、コースタイムよりずっと早い時間で歩けることではないと考えています。
重量物を背負って、10時間以上、連日に渡って歩き通せる持久的体力こそが求められます。
世界屈指の登山家が筋肉隆々であったり、マラソンランナーのような研ぎ澄まされた体型ではないのを見ても分かる通り、求められる体力の質が違います。
トレーニング内容としては、まず歩行技術の習得が上げられます。
後ろの足に重心を残したままで前の足をそっと置き、ゆっくり荷重移動させてから後ろの足の荷重を抜きます。
この時、足はフラットに置き、荷重は拇指球を軸に真上に乗せていきます。
足裏全体で地面を捉え、決して爪先で蹴り足を行わないことが大切です。
これに関しては文章でお伝えするのが難しいので、可能であれば一度講習を受講頂くことをおすすめします。
日常のトレーニングとしては2点。
背中や腰の痛みは背筋群の弱さから来るものだと思いますが、これまたウェイトトレーニングでは鍛えにくかったりします。これもウェイトトレーニングの部類ではありますが、オーソドックスに歩荷トレーニングが効くと思います。
歩荷トレーニングとは通常よりもずっと思い重量物を背負って歩くトレーニングを指します。
具体的には背負子に水を入れたポリタンクを積んで歩く方法が良いかと思います。
一般的な体型の男性であれば、60~80kg程度を背負って歩けるようになりたいものですが、いきなりその重量を背負うと故障の原因と鳴ります。はじめは、男性なら40kg程度、女性なら30kg程度から始めましょう。
この重量を背負って、階段昇降運動やご近所に急な坂道があるならばそこを歩くトレーニングでも良いでしょう。
持久力を鍛えるには L.S.D トレーニングが優れています。
ロングスローディスタンスの略で、長い時間、ゆっくりとした運動を行う事を指しています。息が切れない、余裕をもっておしゃべりできる程度の強度の運動を1時間以上行います。
これを行うことで全身の毛細血管が増え、酸素やエネルギーの供給率が高まります。またミトコンドリアの量が増え、ATP生産効率が上がります。結果、全身にエネルギーがまんべんなく送り届けられ、疲労しにくい体となります。
登山の難しいところは、重量物を背負って急峻な斜面を登ると言う運動そのものが、かなり運動強度が高い。
にも関わらず長時間運動を強いられる点にあります。
他の運動と比べても遅筋が圧倒的優位にある必要がありながら、速筋もある程度必要で、しかもそれに対する持久力も問われる点にあります。
ミトコンドリア強化だけでなく、乳酸耐性に強い体つくりも求められます。
そこでおすすめなのが、上記のトレーニングを1つにまとめる方法です。
歩荷トレーニングを、心拍数を上げない程度にゆっくりと行いましょう。歩荷は強度が高いので、1時間を目処に行うのが良いと思います。心拍数は上げずに、まったく息が乱れない程度のペースで行うことが大切です。
1時間で余裕を感じるようであれば、もう少し重量を増やしましょう。逆に体に痛みや疲労が出るようであれば、重量を減らしましょう。1日おきくらいに行って行けば、かなり強くなれると思います。
心臓に持病をお持ちでないようであれば、週に1度~2度程度のインターバルトレーニングも有効です。
強い心臓は、登山の持久力を高めます!
また登山者としての基礎スキルを身につける意味でも、週に1回くらいはクライミングジムでボルダリングを行うなどするとより良いでしょう。
仮にメニューを立てるならば、
月曜日 レスト
火曜日 歩荷
水曜日 インターバルトレーニング
木曜日 歩荷
金曜日 クライミング
土曜日 登山
日曜日 登山
みたいな形が理想かと思います。
ご参考にして頂ければ幸いです^_^
早速のご回答ありがとうございます。
身近に山の先輩がおらず本とかネットでの情報ならびに自分の思い込みでトレーニングと登山歩きを進めていました。
コースタイムについても早く歩ける人が上級者の思い込みが強かったです。
栗山さんから回答は、すごく丁寧にいただき大変感謝しています。
11月の講習会についても実践的な講習会内容ですね。 前向きに検討いたします。
ありがとうございます
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登山の総合スキルを体系的に学びたい方必見!
当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する6期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?
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